ライブコマースでライバーを起用する際のPR表示とステルスマーケティング対策を解説する企業向けアイキャッチ

ライブコマースのPR表示・ステルスマーケティング対策|ライバー起用時の注意点

ライブコマースのステルスマーケティング対策は、配信画面に一度「PR」と表示するだけでは完了しません。ライブ配信は、途中から視聴する人、アドリブ発言、後から公開が続くアーカイブ、切り抜き動画への二次利用など、管理すべき接点が通常のSNS投稿より多く存在します。だからこそ、企業とライバーの関係、報酬・商品提供、発言への関与、ライブ画面、SNS告知、アーカイブ、切り抜きを一体で確認し、広告であることが一般消費者に明瞭に伝わる運用体制を作る必要があります。

本記事では、どのような配信が「事業者の表示」に当たり得るか、報酬や商品提供の考え方、ライブ画面での表示設計、契約や証跡の残し方までを、企業担当者が実務で使える形で整理します。

本記事は一般的な情報を整理したものであり、個別案件への法的助言ではありません。PR表示の要否は、報酬の有無だけでなく、依頼内容、表示内容への関与、商品提供の目的、過去や将来の取引関係などを踏まえて判断されます。必要な対応は、契約関係、配信方法、媒体、商材、販売形態によって異なります。具体的な判断は、弁護士、消費者庁、業界団体などへご確認ください。また、法令・告示・運用基準・Q&Aは変更される可能性があるため、最新情報をご確認ください。「PRと書けば必ず適法になる」「この記事の対応を行えば違反を完全に防止できる」というものではない点にご留意ください。


01|ライブコマースのPR表示・ステマ対策に関する結論

はじめに結論を示します。ライブコマースのステマ対策では、「PR」と一度表示すれば十分、とは限りません。表示が広告だと伝わっているかは、特定の単語の有無ではなく、表示内容全体から一般消費者がどう受け取るかで判断されるためです。

対策の出発点は、企業とライバーの関係を整理することです。報酬や商品提供の有無、企業が発言内容にどこまで関与したかによって、その配信が事業者の広告として扱われるかどうかが変わります。そのうえで、一般消費者が広告だと認識できるかを基準に、ライブ画面だけでなく、SNS告知、アーカイブ、切り抜き動画までを一体で管理します。あわせて、契約・指示・承認・修正の記録を残しておくことが、後から関与の有無や対応を説明するうえで重要になります。

ステマ規制そのものや、景品表示法・薬機法・特定商取引法の全体像は、別記事で整理しています。本記事では、それらの詳細な解説は繰り返さず、PR表示とステルスマーケティング対策の実務に絞って解説します。

02|ステルスマーケティング規制とは

ステルスマーケティング規制は、2023年(令和5年)10月1日から景品表示法に基づいて始まった規制です。景品表示法第5条第3号に基づく告示により、広告であるにもかかわらず、一般消費者が広告であることを判別することが困難な表示が、不当表示として規制対象になりました。広告であることが分からないと、消費者が第三者の中立的な感想だと誤解し、正しい商品選択ができなくなるおそれがあるためです。

この規制で問題となる表示は、次の2つの要件を満たすものです。

  • 要件1(事業者の表示):事業者が自己の供給する商品・役務の取引について行う表示であること。事業者が表示内容の決定に関与したと認められる場合が該当する。
  • 要件2(判別困難):一般消費者が、その表示が事業者による広告・宣伝であることを判別することが困難であること。

規制対象は、原則として自己の供給する商品・サービスの表示内容の決定に関与した事業者(いわゆる広告主)です。企業から依頼を受けて投稿・配信を行うライバーやインフルエンサー自身は、原則として直接の規制対象ではありません。ただし、企業側が表示内容や運用を適切に管理する責任を負う点は変わりません。違反が認められた場合は措置命令(行政処分)の対象となり、違反のおそれがある場合には指導(行政指導)が行われます。制度の詳細は変わり得るため、最新の内容は消費者庁の情報で確認してください。

03|「事業者の表示」に当たるかを判断するポイント

ステマ対策で最も重要なのが、その配信・投稿が「事業者の表示」に当たるかどうかの判断です。ポイントは、企業が表示内容の決定に関与したと認められるかです。関与は、明示的な指示だけでなく、報酬・商品提供・やり取り・取引関係などから総合的に判断されます。主な判断要素を整理します。

判断要素 企業が確認する資料 注意点
明示的な依頼・発注 依頼書、発注書、DM・メールのやり取り 依頼の事実があれば関与が認められやすい
台本・訴求内容・ハッシュタグの指定 台本、指示書、指定タグの記録 内容を指定するほど関与が強まる
投稿・発言内容の事前承認や修正指示 承認履歴、修正依頼の記録 承認・修正は関与の有力な根拠になり得る
固定報酬・成果報酬 契約書、報酬計算、支払記録 報酬の有無は判断の一要素(唯一の基準ではない)
商品提供・特別価格 提供記録、価格条件 提供の目的・依頼の有無とあわせて総合判断
交通費・出演料・謝礼 支払記録 経済的利益の提供として関与判断の材料になり得る
過去の取引・将来の継続案件 取引履歴、継続契約の有無 関係性の継続が関与の推認につながることがある
企業とライバーの具体的なやり取り メッセージ履歴 暗示的な依頼・指示も判断対象になる
ライバーの自主的な発信か 依頼の有無、経緯 依頼・関与がなければ通常は事業者の表示に当たらない

重要なのは、これらを機械的に「あればアウト、なければセーフ」と判断できない点です。消費者庁の運用基準・Q&Aでも、事業者の方針に沿った投稿を暗示的に依頼・指示したと推認される場合など、実態を踏まえて総合的に判断するとされています。逆に、顧客やライバーが自主的な意思だけで投稿し、企業からの依頼や関与がない場合は、通常は広告表示を行う必要はないと考えられています。

04|報酬・商品提供のケース別整理

「報酬を払ったらステマになるのか」「商品を無償提供したらPR表記が必要か」は、担当者が最も迷う点です。ここでは代表的なケースを整理しますが、いずれも一律に「必要」「不要」と断定できるものではなく、個別事情を踏まえて判断されることを前提にお読みください。

ケース 企業の関与として確認する点 PR表示を検討する理由 実務対応 専門家確認が必要な例
固定出演料を支払う 依頼内容、発言への関与 依頼に基づく配信は事業者の表示になり得る 広告と分かる表示を行う 関与の程度が曖昧な場合
成果報酬(売上連動)を支払う 依頼・紹介条件の有無 報酬を伴う紹介依頼は該当可能性が高い 広告表示と契約記録を整える 報酬体系が複雑な場合
商品を無償提供する 投稿依頼の有無、提供の目的 依頼を伴えば事業者の表示になり得る 依頼の有無に応じて表示を検討 暗示的依頼の有無が不明な場合
大幅な特別価格で提供する 通常取引との差、依頼の有無 経済的利益として関与判断の材料になり得る 提供条件を記録し表示を検討 値引き幅と依頼の関係が不明な場合
通常の顧客向け割引を利用する 一般顧客と同条件か 一般条件のみなら関与は弱いことが多い 条件の同一性を確認 特別扱いの有無が不明な場合
交通費だけを支払う 他の依頼・関与の有無 経済的利益として考慮され得る 依頼内容とあわせて判断 交通費以外の関与がある場合
ライバーが定価で自ら購入する 依頼・関与の有無 依頼がなければ自主的発信に近い 経緯を確認 後日、企業が関与した場合
過去に依頼したライバーが別商品を自主紹介する 今回の依頼・関与の有無 今回関与がなければ通常は不要 今回の経緯を確認 継続関係の影響が不明な場合
投稿を依頼するが内容は指定しない 依頼の事実 依頼があれば事業者の表示になり得る 広告と分かる表示を行う 内容非指定でも判断に迷う場合
特定の評価・推奨表現を指定する 指定内容、承認の有無 関与が強く該当可能性が高い 広告表示を徹底し記録を残す 推奨の強制性が問題になる場合

このように、報酬や商品提供の有無は判断の一要素にすぎません。依頼内容や関与の実態とあわせて総合的に見るのが基本です。判断に迷うケースは、自社だけで結論を出さず、専門家に確認してください。

05|ライブ配信画面でPR表示を設計する方法

ライブコマースでは、SNS投稿と違い、視聴者が配信の途中から参加します。そのため、配信冒頭の一度きりの表示では、途中参加者が広告だと気づけない可能性があります。ライブ画面でのPR表示は、複数の方法を組み合わせて設計するのが基本です。主な方法の長所と限界を整理します。

表示方法 長所 限界・注意点
配信開始時の口頭説明 視聴中の人に明確に伝わる 途中参加者には届かない。口頭のみに依存しない
画面上のテキスト常時表示 いつ参加しても広告だと分かりやすい 文字が小さい・背景と重なると視認性が下がる
定期的な再表示・再説明 途中参加者にも繰り返し伝わる 間隔が空きすぎると見逃される
固定コメント 広告関係を文章で説明できる 他コメントで流れる・埋もれることがある
配信概要欄 詳細な関係性を記載できる スマホでは開かない視聴者が多い
商品カード・商品ごとの表示 どの商品が広告案件か明確にできる 一部だけ案件の場合は対象商品を明示する

特にライブコマースで意識したいのが、複数商品を扱う配信で、どの商品がPR案件かを分かるようにすることです。配信全体が広告なのか、特定商品だけが案件なのかを、視聴者が判別できる設計が求められます。

ここで注意したいのは、「常時表示だけが唯一の正解」ではないということです。適切な表示は、媒体、配信形式、画面構成、表示内容全体に応じて変わります。重要なのは、途中参加やスマートフォンでの視認性まで考慮し、配信を通じて広告であることが一般消費者に明瞭に伝わる状態を作ることです。文字サイズ・色・位置・表示時間を含め、全体で判断してください。

06|分かりにくいPR表示になりやすい例

PR表示をしていても、一般消費者が広告だと気づけなければ、対策として不十分になり得ます。表示は、特定の単語を入れれば自動的に十分になるわけではなく、表示内容全体から判断されます。分かりにくくなりやすい例と、改善の方向を整理します。

  • 配信冒頭に一度だけ口頭で説明する:途中参加者に届かない。画面表示や再説明を併用する。
  • 数秒だけ小さく表示する/背景と同じ色で表示する:気づかれにくい。視認できるサイズ・コントラスト・表示時間にする。
  • 概要欄の最下部だけに記載する:開かない視聴者が多い。配信画面上でも分かるようにする。
  • 返信欄やツリー、固定コメントだけに依存する:本文・画面で気づけない。主要な位置で伝える。
  • 「コラボ」「アンバサダー」「提供」とだけ記載する:広告だと明確とは限らない。広告・PR・宣伝であることや関係性を分かる形で示す。
  • 大量のハッシュタグの中に「#PR」を埋め込む:埋もれて気づかれにくい。目立つ位置に明瞭に示す。
  • 広告対象の商品・企業との関係性が分からない:何がPRか不明確。対象商品と関係性を明示する。

共通する改善の考え方は、「一般消費者が、無理なく、広告だと気づけるか」を基準にすることです。「アンバサダー」「コラボ」「提供」といった表現を一律に十分・不十分と決めつけるのではなく、それだけで広告と伝わるか、関係性や対象が分かるかを、表示全体で確認します。

07|SNS告知投稿にもPR表示が必要か

ライブコマースでは、配信本体だけでなく、配信を告知するSNS投稿もセットで行うことが一般的です。この告知投稿についても、企業の関与と表示内容に応じて、広告であることを明瞭にする必要があるかを検討します。媒体名だけでルールが決まるのではなく、企業が表示内容の決定に関与しているか、表示全体で広告だと伝わるかを基準に考えます。

  • 企業公式アカウントの告知:企業自身の発信であることが通常明らかで、社会通念上広告と分かることが多い。
  • ライバー個人アカウントの告知:企業の依頼・関与があり、かつ広告だと分かりにくい場合は、明瞭な表示を検討する。
  • 配信URLだけの告知と、商品名・おすすめポイントを含む告知:推奨的な内容を含むほど、広告としての性質が強まり得る。
  • 企業から文面・画像を渡して投稿させる場合:内容を企業が用意している分、関与が強く、明瞭な表示の検討が必要になりやすい。

ストーリーズ、ショート動画、各SNSの投稿、動画の概要欄など、フォーマットによって表示の見え方は変わります。いずれの媒体でも、その表示単体で広告だと一般消費者に伝わるかを確認することが基本です。特定の媒体について「ここに書けば必ず十分」と一律に決めつけないよう注意してください。

08|アーカイブ・切り抜き・再投稿のPR表示

ライブコマースのPR表示で特に見落とされやすいのが、配信後に公開が続くコンテンツです。アーカイブや切り抜き動画は、配信が終わった後も広告として機能し続けるため、その間ずっと広告であることが分かる状態を保つ必要があります。編集の過程でPR表示だけが消えてしまう、といった事態にも注意が必要です。ライブ配信時と、その後の二次利用時では、管理すべき項目が異なります。

コンテンツ 主な管理項目 注意点
ライブ配信(本番) 画面表示・口頭説明・固定コメント 途中参加者への配慮、視認性の確保
アーカイブ 公開継続中の広告表示の有無 編集でPR表示が消えていないか確認
切り抜き動画 動画ごとの広告関係の明示 切り抜き単体で広告と分かるようにする
企業公式による再投稿 再投稿時の広告表示 転載時に関係性が伝わる形にする
広告クリエイティブへの転用 広告表現としての適否 転用先の表示ルールも確認する
商品ページ・「お客様の声」掲載 UGCか広告かの区別 依頼・関与のある内容を中立の声として見せない

特に、広告案件として作られた配信を、企業ECサイトで「お客様の声」やUGC風のコンテンツとして中立の感想のように見せることには注意が必要です。企業の依頼・関与があった内容であれば、その関係性が分かるようにすることが求められます。また、過去のプロモーション投稿でも、現在も公開が続いている場合は、表示の状態を確認することが望ましいとされています。公開終了・修正・差し替えの判断基準も、あらかじめ決めておくと安全です。

09|「PR」と表示しても別途確認が必要な法律・表現

PR表示は、あくまで「広告であること」を明らかにするための対応です。PR表示を行っても、表示内容そのものが正確・適法になるわけではありません。ここは誤解されやすい重要な点です。PR表示とは別に、次のような表現は引き続き確認が必要です。

  • 効果・品質を実際より優れて見せる優良誤認表示
  • 価格・取引条件を実際よりお得に見せる有利誤認表示
  • 客観的な根拠のないNo.1表示・満足度表示
  • 価格・割引・限定条件に関する表現
  • 化粧品・健康食品などの薬機法に関係する効能効果の表現
  • 特定商取引法上の販売条件(価格・返品・定期購入など)の表示
  • 虚偽の体験談、架空の在庫不足や限定性の演出

つまり、「PR」と表示してステマ対策を行ったうえで、景品表示法の優良誤認・有利誤認、薬機法、特定商取引法などの表現・表示の確認は、別途必要だということです。これらの法令ごとの全体像や、配信中の表現管理・トラブル対応については、別記事で詳しく整理しています。

10|ライバーとの契約・依頼書に入れる項目

ステマ対策を運用として機能させるには、口頭の依頼で済ませず、契約書や依頼書で条件を明確にしておくことが重要です。以下は、企業が弁護士へ相談する前に、社内で整理しておきたい項目です(条項の完成文ではなく、整理すべき論点として示します)。

  • 案件が広告・PRであること、対象商品
  • 配信日時と媒体
  • 固定報酬・成果報酬、商品提供・貸与・特別価格の条件
  • PR表示の方法(配信開始時・配信中・アーカイブでの表示)
  • 台本・FAQ、使用可能表現・禁止表現
  • 事前承認の範囲、アドリブ発言のルール
  • 配信映像の利用範囲、アーカイブの公開期間
  • 切り抜き・広告転用・二次利用の可否と条件
  • 修正・削除への協力、問題発生時の報告
  • 契約終了後の公開物の扱い、証拠・ログの保存

これらを事前に整理しておくことで、弁護士への相談がスムーズになり、契約後の運用でも判断の拠り所ができます。出演者の選定や育成、台本づくりと連動させると、より実務的な体制になります。

11|企業側が残すべき記録・証跡

ステマ対策では、「広告であることをきちんと管理していた」と後から説明できる状態にしておくことが重要です。そのためには、企業とライバーの関係や、どんな指示・承認をしたかの記録を残しておく必要があります。残すべき記録と担当部署の目安を整理します。

記録する項目 保存する理由 主な担当部署
契約書・発注書・依頼メッセージ 依頼・関与の内容と範囲を示すため 法務・マーケティング
商品提供記録・特別価格の内容・報酬計算 経済的利益の内容を説明するため EC・経理・マーケティング
台本・FAQ・修正指示・承認履歴 表示内容への関与と管理を示すため マーケティング・法務
配信画面のキャプチャ・録画データ 本番の表示状態を記録するため 配信運営
アーカイブ・切り抜き動画・SNS告知 二次利用の表示状態を確認するため SNS・配信運営
訂正履歴・削除履歴・問題発生時の社内対応記録 対応の経緯を説明するため 法務・マーケティング

これらの記録は、問題が起きたときの説明だけでなく、次回の配信の改善材料にもなります。どの表示が分かりやすかったか、どこで判断に迷ったかを蓄積することで、属人的な判断に頼らない運用へと近づけられます。

12|ステマ対策で起こりやすい失敗例と改善策

ここでは、ライブコマースのステマ対策で起こりやすい仮想的な失敗例を取り上げ、対応の考え方を整理します。いずれも実在の企業・ライバーの事例ではありません。

仮想事例1:配信冒頭に一度だけ「PR案件です」と口頭で説明した

問題:途中参加者に広告だと伝わらないおそれ。確認:途中の視認手段があるか。初動:画面表示や再説明を追加。修正・削除:アーカイブに表示を補う。再発防止:口頭のみに依存しない表示設計をルール化。

仮想事例2:企業が台本を渡しているのに、ライバー個人の感想として配信した

問題:関与があるのに広告と分からず事業者の表示に該当するおそれ。確認:台本・指示の関与範囲。初動:広告であることを明瞭に表示。修正・削除:アーカイブへ表示追加や該当箇所の調整。再発防止:関与のある配信は必ず広告表示を行う。

仮想事例3:成果報酬を受け取っている事実を表示しなかった

問題:報酬を伴う紹介依頼が広告と分からないおそれ。確認:報酬条件と依頼内容。初動:広告表示を追加。修正・削除:公開中コンテンツに表示を補う。再発防止:報酬・提供のある配信は表示を必須項目にする。

仮想事例4:商品提供を社内で記録していなかった

問題:関与の有無を後から説明できないおそれ。確認:提供の事実・目的・依頼の有無。初動:提供記録を整備。修正・削除:必要に応じ表示を見直す。再発防止:商品提供・特別価格を記録するフローを整える。

仮想事例5:ライバーへ「必ずおすすめしてください」と依頼した

問題:推奨表現の指定は関与が強く、内容次第で優良誤認等にもつながるおそれ。確認:指示内容と表現。初動:指示を見直し広告表示を徹底。修正・削除:不適切な表現を調整。再発防止:推奨の強制を避け、表現ルールを共有。

仮想事例6:配信時にはPR表示があったが、切り抜き動画から消えた

問題:切り抜きが広告と分からないまま公開が続くおそれ。確認:各切り抜きの表示状態。初動:表示のない切り抜きを修正・非公開。修正・削除:広告表示を付与して再公開。再発防止:切り抜き作成時の表示確認を工程に組み込む。

仮想事例7:広告案件の配信を「お客様の声」としてECサイトへ掲載した

問題:依頼・関与のある内容を中立の感想のように見せるおそれ。確認:掲載内容の出所と関与。初動:関係性が分かる表示に修正、または掲載を見直す。修正・削除:UGCと広告を区別。再発防止:掲載前に出所と関与を確認する。

仮想事例8:過去の案件投稿を表示なしで公開し続けた

問題:継続公開中の投稿が広告と分からないおそれ。確認:過去案件の公開状況と関与。初動:公開中のものに表示を追加。修正・削除:必要に応じ修正・非公開。再発防止:過去投稿の定期点検を行う。

仮想事例9:ライバーが勝手に発言したとして、企業側が確認・修正を行わなかった

問題:企業は表示内容や運用を管理する立場にあり、放置は不適切。確認:発言内容と関与、影響。初動:事実を確認し必要な対応を判断。修正・削除:問題があれば訂正・調整。再発防止:発言ルールと事後確認の体制を整える。

13|ライブコマースのPR表示・ステマ対策チェックリスト

ここまでの内容を、契約・依頼前/配信前/配信中/配信後・二次利用時の4段階のチェックリストにまとめます。自社の運用点検にご活用ください。

契約・依頼前

確認項目 はい/いいえ
① 案件が広告・PRであることを依頼書・契約に明記したか  
② 対象商品・配信日時・媒体を特定したか  
③ 固定報酬・成果報酬・商品提供・特別価格の条件を整理したか  
④ 企業の関与の程度(台本・承認・修正の有無)を確認したか  
⑤ PR表示の方法(開始時・配信中・アーカイブ)を定めたか  
⑥ 使用可能表現・禁止表現、アドリブのルールを共有したか  
⑦ 二次利用(切り抜き・広告転用・掲載)の範囲を取り決めたか  
⑧ 修正・削除への協力、証跡保存の取り決めをしたか  
⑨ 判断が難しい点を専門家に確認したか  

配信前

確認項目 はい/いいえ
① どの商品がPR案件かを整理したか  
② 画面表示の文字サイズ・色・位置・表示時間を確認したか  
③ 途中参加者への再表示・再説明を設計したか  
④ スマートフォンでの視認性を確認したか  
⑤ 固定コメント・概要欄の表示を用意したか  
⑥ SNS告知投稿の広告表示を確認したか  
⑦ 表現面(優良誤認・薬機法・特商法など)を別途確認したか  
⑧ 出演者へPR表示・発言ルールを共有したか  

配信中

確認項目 はい/いいえ
① 広告であることの表示が画面で確認できる状態か  
② 商品ごとに案件かどうかが分かるか  
③ 定期的に広告関係を再説明しているか  
④ 表示が他の画面要素で隠れていないか  
⑤ 配信画面のキャプチャ・録画を記録しているか  

配信後・二次利用時

確認項目 はい/いいえ
① アーカイブに広告表示が残っているか  
② 切り抜き動画ごとに広告関係が分かるか  
③ 編集でPR表示が消えていないか確認したか  
④ 企業公式の再投稿に表示があるか  
⑤ 広告クリエイティブ転用時の表示を確認したか  
⑥ 「お客様の声」掲載でUGCと広告を区別したか  
⑦ 過去の案件投稿の公開状況を点検したか  
⑧ 契約・指示・承認・修正の記録を保存したか  

14|まとめ|広告だと明瞭に伝わる運用を一体で設計する

ライブコマースのPR表示・ステマ対策は、報酬や商品提供の有無だけで機械的に判断できるものではありません。企業の関与、依頼内容、関係性を確認し、一般消費者に広告だと明瞭に伝わる表示を設計することが基本になります。

そのうえで、ライブ配信の途中参加者を考慮した表示にし、SNS告知・配信・アーカイブ・切り抜き・再投稿までを一体で管理します。契約と証跡を残し、判断が難しい場合は専門家や行政機関へ確認する。この積み重ねが、安心して継続できる運用につながります。

そして、PR表示を行っても、景品表示法の優良誤認・有利誤認、薬機法、特定商取引法上の表現・表示の確認は別途必要です。PR表示はスタート地点であり、表示内容そのものの正確性は別の課題として管理してください。ライブコマースを継続する企業にとって重要なのは、個人の判断に頼るのではなく、関与の整理・表示設計・記録・確認を運用ルールとして仕組み化することです。

この記事の要点整理

  • 「PR」一度の表示で完了ではない。表示内容全体から広告だと伝わるかで判断される。
  • 報酬・商品提供だけで機械的に判断しない。企業の関与・依頼内容・関係性を総合的に確認する。
  • 規制対象は原則広告主。依頼を受けたライバーは原則対象外だが、企業が管理責任を負う。共同供給などの例外もある。
  • 途中参加者を考慮する。冒頭一度の口頭説明に頼らず、画面表示や再説明を組み合わせる。
  • 分かりにくい表示に注意。小さい・埋もれる・関係性が不明な表示は改善する。「コラボ・提供・アンバサダー」を一律に十分とみなさない。
  • SNS告知も関与と表示で判断。媒体名だけでルールを決めない。
  • アーカイブ・切り抜き・再投稿まで管理。編集でPR表示が消えないよう点検。UGCと広告を区別する。
  • PR表示は表現の適法性を保証しない。優良誤認・薬機法・特商法の確認は別途必要。
  • 契約と証跡を残す。関与・指示・承認・修正の記録を保存し、次回改善につなげる。
  • 判断が難しい場合は専門家へ。自社だけで断定せず、弁護士・消費者庁・業界団体に確認する。

ライバー契約・PR表示・アーカイブ管理をどこまで整備すべきか整理したい方へ

ライブコマースのステマ対策で重要なのは、ライブ画面への表示だけでなく、企業と出演者の関係、商品提供、台本、SNS告知、購入導線、配信後のコンテンツまでを一体で設計することです。Nomissは、自社ECサイトにライブ機能をプラグインで組み込み、配信・商品ページ・購入導線を自社で一元的に運用できるサービスです。自社ECに合わせたライブコマースの導入・運用設計について、ご相談いただけます。まずはお気軽にご相談ください。
(Nomissは配信・運用の設計を支援するものであり、法律相談・適法性判断・法令遵守の保証を提供するものではありません。個別の法的判断は専門家にご確認ください。)

参考資料

本記事の作成にあたり、以下の公的機関の情報を確認しました(確認日:2026年7月7日)。ステルスマーケティング規制は、景品表示法第5条第3号に基づく告示(令和5年3月28日内閣府告示第19号)により、2023年10月1日から施行されています。法令・告示・運用基準・Q&Aは変更される可能性があるため、実務では必ず最新の一次情報をご確認ください。

  • 消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」
    https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/stealth_marketing/
  • 消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」
    https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/faq/stealth_marketing/
  • 消費者庁「景品表示法」
    https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling
  • e-Gov法令検索(不当景品類及び不当表示防止法)
    https://laws.e-gov.go.jp/

※本記事は一般的な情報の整理であり、個別案件への法的助言ではありません。具体的な判断は、弁護士、消費者庁、業界団体などの専門家・関係機関へご確認ください。

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